奴の小万と呼ばれた女

奴の小万と呼ばれた女

奴の小万と呼ばれた女

せっかくこの世に生まれたからには、くわっと熱くなる思いがしてみたい。
身の丈6尺に迫る、雪のように肌の白い美少女は、愛しい男を守るために、角材を手にして大立ち回りを繰り広げる──。
時代小説大賞受賞作家が描く200年前の大阪で、まっとうな世間と戦い続けた強すぎる女の半生。


大阪屈指の豪家に生まれた三好正慶尼こと木津屋お雪。型破りの振る舞いばかりが語り草となったが、この女性の真実の姿にはだれも目を向けようとしなかった。「奴の小万」という役名で、女侠客として昭和に至るまで舞台に登場し続けた、1人の女性の実像がいま初めて明かされる。


先日読んだ『吉原手引草』の松井今朝子さんの書いた江戸時代の大坂を舞台にした物語。
まだ、2冊しか松井さんの作品を読んでいないけれど、松井さんの描くヒロインは潔くまっすぐに生きていて、読んでいて胸がすっとする。
もちろん、超人的なヒロインが荒唐無稽な活躍をするわけではなく、時代や世間のしがらみに縛られて傷ついたり、もがいたりする姿も描かれていて、すっとするだけでなく、胸が痛くなるような場面もある。
後、着物好きとしては着物の描写も うれしい。
物語としてもおもしろくて ぐいぐい読んでしまう。