本年度マイベスト

スウェーデンの研究所がノルウェーの独身男性の台所での行動を調査するという不思議な設定に思わず、にんまりとしてしまう冒頭から、この映画好きだと思ってしまった。
テニスの審判みたいな椅子を台所内に置いて、被験者を観察するという設定もおかしい。
台所のシンプルな家具、壁紙の色、調査員が寝起きするキャンピングカーなど 小物がものすごくかわいい。
やはり、いい映画ってディティールが凝っているものが多い気がする。


調査員と被験者は絶対に会話してはいけない、という規則がありながら だんだんと交流を深めていく2人。
無口な被験者イザックときまじめな調査員フォルケ。
お互いに相手を初めは イザックは煙たがり、フォルケは調査の無駄だと思う。
煙草を落とすふりをして、煙草を切らしたイザックに煙草をあげるフォルケ。
お返しにコーヒーを淹れるイザック。
お互い、不器用におずおずと友情が始まっていくところに涙ぐんだ。
とてもとても、あたたかくて心にしみる映画。


独身男性の台所調査というだけあって、あまり料理はしないのだが、イザックが板チョコを食べているのを見て、フォルケが自分も食べたくなり大量の板チョコを買って帰って食べるシーンには 共感。
人の食べているものを見ていると食べたくなるってあるよなーと。
手作り感は無いけど、この映画を観ているとお腹が空いてくる。
フォルケが観察台の上で食べる 黒パンにクリームチーズみたいなものを塗ってあるものと 茹で卵のお弁当や、スウェーデンの叔母さんに食料を送ってもらい自室(キャンピングカー内)で食べる料理、にしんやピクルス、ソーセージでチーズをサンドして食べたり…
どれも、美味しそうで食べてみたくなる。