以前、近所でも話題にのぼるほど、我が家の斜め下の家に住んでいる女の人の怒鳴り声が よく聞こえていた。
内容までは聞こえなかったのだけど、子供でも叱っていたのか、時々、どしんどしんという音とともに、ひどい時は4時間近く怒鳴り続けている時もあった。
朝など会うと挨拶をしたりすることはあったものの、話したことも無く、「ひょっとして、虐待?」という近所の噂も気になりつつも、何が行われているのかもわからず、何も出来ず、そのうち、この家族が引っ越して、ほっとしていたら、しばらくして別の家族が引っ越して来た。
音の出所が はっきりとはしないものの、どうも同じ方角(斜め下)から、ちょくちょく、女の人がイラ立って子供を叱っている声が聞こえて来ることがあり、感情の記憶というものが場所にも残ることがあるのだろうか、と考えたりするこの頃。


悪人正機 (Καρδια books)

悪人正機 (Καρδια books)

ほんとのことを言うのは、いちばん簡単なことなのに、それができなくなっているからことばがどんどん腐って死んでいく。善って? 悪って? 糸井重里を聞き手に吉本隆明が語る。『週刊プレイボーイ』連載を単行本化。